この超長期優良住宅(通称:200年住宅)は、従来の建築に比べ、2割超、コストが高くなる。この建築コストが高くなる分、毎月の返済額が増加し、理念に賛同しても実際には購入に踏み切れない人も多い。
これでは理想を掲げても実現しない。このため、200年住宅の普及促進には、金融や税制の後押しが必要と考えられている。その一環が、住宅ローン減税での優遇であり、住宅ローンの返済期間長期化である。
住宅ローン減税での優遇は、控除率の上乗せ案が検討され、住宅ローンでは、住宅金融支援機構を通じ、現在、最長35年の固定金利を、200年住宅に限り、最長50年まで返済期間を延ばすことができるもの。
※住宅ローン減税延長の現行案は、一般住宅の場合、残高(5,000万円上限)×1%、200年住宅の場合、残高(同)×1.2%。
住宅金融支援機構では、現在、最長35年の固定金利商品を“フラット35”と名づけており、それにならって、最長50年の固定金利を“フラット50”と呼ぶ。
このフラット50は、200年住宅に限り対象になる他、完済年齢80歳、もしくは、子供が返済を引き継ぐ親子リレー方式が条件。
それにしても、50年間にもわたり金利を固定するなんて、貸し出す(買い取る)金融機関側を考えたら、とてもできるものではない。これは、200年住宅の促進という政策的な面であり、最終的には税金での負担になるのであろう。
また、フラット50を借りる側から見てみると、固定金利であることの他、借入期間が延びることから、毎月の負担が軽減され、一見、良いことのようにも思われる。
しかし、固定期間がより長くなることから適用金利は高くなり、最終的な負担(利息)は増加する。さらに、毎月の返済額が少なくなることから、元金の減少スピードが遅くなる。
元金の減少スピードが遅くなるということは、いつまで経ってもローン残高が多いということであり、もし、返済半ばで売却しようとした時、市場価格がローン残高を下回るケースが可能性が高いということ。
建物は、200年住宅であれば経年による資産価値減少スピードは緩やかにはなるが、年々、価値は減少するものである。今後、地価が上昇するのであれば、このギャップを埋められるが、それはまず難しいであろう。
フラット50の貸し出し条件で、子供が返済を引き継ぐ親子リレー方式が採用されているが、例えば、40歳の人が借りる場合、どのように対応するのか。
満80歳が完済年齢であるから、通常なら40年返済になる。これを50年返済にするためには、子供が引き継ぐ条件になるが、40歳の子供は、おそらく10歳前後であろう。法律的にも保護されている10歳の子供に将来の返済を約束させるのであろうか。それとも、親が子供が引き継ぎますと言えばいいのか。
子供には子供の人生があり、たまたま、親子同居や引き継ぐ住まいに魅力があれば、住宅ローンの返済も引き継いでくれるであろうが、子供の人生にとって、その住まいが適切でなければ、子供の人生を親が足を引っ張ってしまう。
そうならないためには、やはり、購入する人自身で住宅ローンの返済をしなければならないが、80歳までに完済と言っても、年金不安などに加え、60歳以降の収入を高くは見込みづらいことから、当初は良くても、後々厳しい状況を迎える。
今回成立した200年住宅法でも、資産価値の減少を軽減するために、中古住宅市場の整備が必要であることをうたっているが、まだ、この部分は整備されていない。それにも関わらず、入口の方ばかり整備して促進を図るのは片手落ちである。
近年増えている“ゆとりローン”問題。これも、当初の負担が少ないというエサをぶら下げて、住宅購入の促進だけを図り、その後にくるムチの部分は自己責任でやれというものであった。
商品構成が幅広く充実することは、プラスになりこそすえ、マイナスにはならない。ただし、その中から、自分たちに適したもの、借りた後のことまで考えて、選択しなければならない。
200年住宅促進の根底にある理念には賛成であるが、購入時ばかりの取り組みではなく、購入後の部分の整備も早急に願いたい。200年住宅を販売するハウスメーカーも、安易に200年住宅という言葉を使って欲しくない。きちんと理念を理解し、購入後のことまで体制を整えてから、初めて使えるものである。私の知る限り、対応できている会社はわずかである。
ちなみに、200年住宅という言葉を使ってはいるが、実際に200年の耐用年数があるわけではない。100年住宅という言葉は、すでに一部のハウスメーカーで使われており、これと区別し、さらに優良であることを伝えるために使われたものである。
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