最近の地価下落、マンション販売低迷の流れを受けて、経済専門誌を中心に不動産市況などの特集が組まれることが多いが、その中身はファンドや金融を中心とした内容であり、一般の方が直接参考になりそうな記事は少なかった。
そのような状況の中で、日経トレンディ(2008年11月号)でも“値引き合戦!住宅「買い」を見抜く”という特集が組まれた。日経系ではあるものの、“個人生活を刺激する流行情報誌”というフレーズを使う同誌では、主にマルチメディアに関する記事が多い印象があり、金融・経済に関することでもクレジットカードなどの日常生活に近い内容を取り上げてきたと思われるが、今回、日常生活に関わることではあるものの、重たい“不動産や住宅”に関する記事を特集したのは、意外な感じを受け、逆に興味を持ち、手にとってみました。
主な内容は、マンションの市況と値引き交渉・路線別の分析、中古戸建の現状と注意点、住宅ローンの比較と分析・金利交渉など。その中でも、これから浸透するだろう(浸透すべき)中古住宅の建物診断と評価を詳しく取り上げたのは、流行を追うという同誌の良さでしょうか。全体的に他の経済誌よりも購入者にとって興味深い記事が多いので、これから不動産を購入しようと思われる方が読んでみる価値があると思います。
さて、この特集の中で、とても難しく分かりづらい“仲介”という面も取り上げたのは、今後、中古住宅の流通が拡がること、その中で仲介会社との関わりが大事であることを読みきったものと思われ、感心させられました。
一般消費者が、不動産以外に“仲介”という形態で物を購入するという場面は少なく、仲介という形態そのものが馴染みづらいものです。さらに人生の中で不動産を購入する場面も少なく、また、その専門性、多岐に渡る要素から、不動産仲介というものをさらに難しくしています。
この特集では、どのように仲介会社と接すればいいのか、仲介会社をどう選べばいいのか、それぞれの良し悪しと併せ、≪仲介会社の「正体」を見破れ≫という題で紹介しています。
元付けとは、売主から売却を直接依頼されている会社。このため物件のこと、売主の状況や意向を把握している。客付けとは、買主側から購入を依頼された会社。売主の顔色を窺わずに買主側に立って行動する。元付け、客付けそれぞれにメリット・デメリットはあるが、目の前にいる担当者が元付けなのか、客付けなのかを知っておいて損はない、と仲介会社の立場を知ることの大事さを説いています。
※元付けでも客付け側になることも可能。これを業界用語で“両手(単独仲介)”という。この両手取引に関しては問題も多く、業界関係団体や行政側でも改善に向けて検討している。この注釈は記事とは関係ございません。
では結局のところ、元付と客付、どちらで買ったほうが得なのか。同誌記者が実際にそれぞれの会社で実際の物件を用いて検証した結果を紹介し、この結果では、物件に関する情報や知識、売主の状況把握からの値引き交渉など、元付けに軍配が上がるとしております。
しかし、この記事を読んだ率直な感想は、やはり現場を知らない人には難しかったか、というもの。
確かに、たったひとつの物件だけを見れば、売主の担当者(会社というよりはその人)が、その物件に関し、他の会社や担当者より詳しいのはその通りである。特定の物件を決めて、この物件を購入することを大前提とするなら記事の通りかもしれない。
現実では、一般消費者がたったひとつの物件を特定して検討することは少なく、複数の物件の中から、自分たちにとって、どの物件が良いのか比較検討する。その際、元付け担当者であれば、自分が担当する物件を、購入希望者にとって良いか悪いかは二の次に勧めてしまう。
逆に客付け側であれば、どの物件を購入してもらっても営業的には変わらないので、その人に一番合った物件がどれか、各物件の良し悪しを比較しながら客観的にアドバイスできる。
また、売主の状況を把握しているからといって、値引き可能な限度まで買主側に伝えるとは限らず、伝えたとしたら、同じ一般消費者である売主の利益が保護できない。このように担当者が恣意的意図的に取引を操作できる余地があることに、両手取引の問題点がある。これはどちらの消費者にも不利益になることで、この点に関し、消費者へ指針となるべき同誌が取り上げなかったことは残念である。
販売という形態では、性能比較、値引きなどの販売側を分析すればかなり網羅されることから、物を主体とした取り上げ方でも構わない。しかし、不動産の場合、購入しようとする物件と購入する人のそれぞれの相性を持って考えねばならず、物件側のみに焦点を当てたのでは片手落ちである。
ちょっと注文的な部分もありましたが、仲介そのものに注目して取り上げたこと、さらに、売主からの直接購入なら仲介手数料不要という消費者受けする内容をあえて否定し、直接購入の難しさと仲介の必要性を説いたのは、このような雑誌では画期的なことで、これからの時代を見抜いているのかと思われた。さすが、流行情報誌と感じております。
改めてにはなりますが、この特集記事は、これから不動産を購入しようとされる方に有益な内容となっておりますので、お読みになってみてください。
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2008年10月07日
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Posted by 知多半島の旅館 at 2008年10月20日 10:28
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